PWA、開発中のノースセイルについてインタビュー

PWAでノースのマネージャーであるラウルと長年開発に携わるクラアス・ボケットのインタビューをしています。
インタビューの内容は新たに開発しているモールド加工のセイルについてです。
ラウルは25年もの間ノースセイルで開発に携わり、ラインマネージャーとしてマーケティングも務めるノースセイルの要となる人物です。彼の豊富な経験はノースになくてはならないものとなっています。

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PWA:現在開発している新しいセイルについて少し教えてください。どんなテクノロジーを使っていますか?そしてそれは今の製品とどこが違うのでしょうか?

ラウル:コンセプトシリーズと呼んでいますが、数量限定の製品です。非常に高価な製品になり、マス対象ではないのです。でもまだ本来の開発という状態までいっていません。しかしアメリカズカップでノースセイルが使っているのと同じテクノロジーで、すでにその効果は実証されているという面で重要な開発であるということを知って欲しいのです。

このテクノロジーは3Diといい、開発にはとても時間と労力を使っています。10年以上前に開発された3DLテクノロジーが進化したものと言えます。今IQは3DL技術を使っています。またこの3DLを使ったものに見た目が似たセイルを作っているブランドも幾つかあります。3Dモールドではありませんが、フラットなセイルに従来の方法で(シームを用いて)シェイプをつけています。ハイテク技術ではありますが、ノースではこの技術に幾つかの欠点を発見したので、新しい技術に着手したのです。従来の技術では軽いセイルを作るためにフィルムの厚みを薄いものにしています。

これにはいくつかの問題があります。まずは厚みの違うフィルムに同レベルの抗UV効果を持たせるのが難しいことです。ポリエステルは抗UV素材ではありませんので、何度も太陽の下で使うと劣化します。そのためノースは現在のセイルでは最も薄いものでも4mmのものフィルムを使い、強度と軽さの両立を図っています。3DL技術ではラミネートしてフィルムとラミネートの厚みを2mmまたは1.5mmまで薄くすることができるようになっています。
そのラミネートされたフィルムを糸の両側に貼ります。この技術では糸をそれぞれの方向に、パターンを作らず、荷重方向を考えて張ります。多くの糸がセイルに張り巡らされ、厚みのないフィルムを使うことができるのです。これが他社も用いている3DLと開発中の新しい技術メンブレン(膜)の大まかな説明です。

ウインドサーフィンの最近のセイルは伸縮性の少ない素材を好んで使います。Xプライは糸を多く用いフィルムと合わせた素材ですが、その伸縮性は残念ながらフィルムの厚みに大きく影響されてしまいます。そのため単に糸を多くするだけではダメなのです。フィルムを薄くすれば伸縮性がアップしますが、ノースでは特にレースセイルなどには好ましくないと判断しています。
3Diテクノロジーを簡単に説明すると、セイルをラミネートするのに使いやすい技術ということになります。ざっくり言えば、ボードの外側、マストやブームに行っている加工と同じようなものです。

PWA:プレプラグとはなんですか?
ラウル:基本的にファイバーのコードの何本かを並べ、それにレジンを流します。どのくらいのレジンがファイバーにかけられるか、これをコンピューター制御で正確に行うことがポイントとなります。ここで問題になるのは、ファイバーコードにはある程度の厚みがあり、その厚みに若干の違いがあることです。

ノースセイルヨットではコード全ての厚みに正確に整える特別な工程を開発しました。そしてこの細いのコードを使い、通常のプレプラグに比べて50倍細い新しいプレプラグを作っています。あまりに薄いので伸縮性が高くなってしまうので、これもまた特別に開発したゴム性レジンを組み合わせてセイルを開発することができるようになったのです。この素材からテープを作ります。このテープを使い、巨大なテーブル(サッカー場くらいの大きさ、ヨットのための技術なので)でコンピューターによって作業します。このテーブルは真っ平らですが、下にチューブやワイヤーがあります。油圧式のボタンを押すとフラットなテーブルに凹凸が生まれます。カイ・ホフにとって、セイルをデザインするためにこのコンピュータープログラムを学ぶことは悪夢でした。

このシステムでセイルを作ることの利点は、例えばもっと強度をもたせたい部分があると考えた時、ファイバーの量を局所に増やすことができることです。そのためセイルの中心部は2、3層でできていても、フットは8層に増やすことができるのです。

クラアスは初期のプロトタイプについてこうコメントしています。”僕の5.0に関する印象は、とてもパワフルというものでした。そのパワーは素材によって生み出されていますが、一方で一度パワーアップしたらオーバーセイルに感じることがないことに驚いた。この素材は使用範囲が広いと思うけれど、今は開発の最初の段階なのでまだ多くテストしていく必要はあります。
マウイで僕とビクターは幾つかのプロトをテストし、カイと一緒に開発の仕事をしました。このシステムによるセイル作りの最初の段階について学ぶことができました。フィードバックすることでセイルのシェイプを正確に作り、セイルシェイプを保持するために、どの部分にどのくらいレイヤーを重ねれば良いかわかってきたのです。今までのセイルはミニバテンやケブラーテープを使って伸びを調整してきました。これからはテープ素材を足してレイヤーを増やすことによって調整するようになるでしょう。来年にも少しずつテストして高めていきたい”

PWA:重量に関して、すでにマーケットに出ているものと比較してどうでしょう?
ラウル:ノースではマーケットで最も軽い製品を出すことを大切に考え、すでに最軽量のマストやブーム、エクステンションを出しています。今の段階で、プロトタイプは乾いている時にセバーンと同じくらいの重量です。しかしバテンポケットや他のパッチ、補強はすでにボディーに組み込まれていて、マストスリーブだけが付いていない段階での重量です。でもこの部分は軽いので、濡れた時にはかなり軽くなると思います。
話したように最近のウインドサーフィンのセイルはソフトなパワーを供給するため伸縮性を調整しています。3DLテクノロジーではフィルムを薄くするとセイルが伸びやすくなってしまいます。しかしこの新しい3Diテクノロジーなら、必要な柔軟性をセイルに与えられるのです。これによって私たちは必要な箇所に柔軟性を備えながらも伸びないセイルを作ることができる上、従来のセイルによりかっちりとしたセイルを作れるのです。
抗UV効果については、ポリエステルを使わないので太陽の下に気にせず出せます。確信が持てていないのは、白い色を透明にできるのかどうかですが、今の時点ではわかっていません。

PWA:いつ最初のセイルが買えるのですか?
ラウル:今の時点では2018年2月ごろに最初の製品ができるよう考えています。

インタビュー原文 http://www.pwaworldtour.com/

モーテフォン、シルトでの心境を語る

モーテフォンから大会レポートが届きました。今回年間タイトルのかかったシルトの大会で何が行ったのか書いてありました。

北ドイツのハンブルグの空港でフライトを待っている間にこのレポートを書いています。シルトで行われた2016ワールドカップの第5戦が終わりました。僕にとっては長く難しい大会で、10日間の長い日程の後、最高の結果とは言えない9位に終わりました。シルトはものすごい数の観客とドイツの素晴らしいオーガニゼーションがある大会で、ウェイブ、フリースタイル、スラロームのすべてのカテゴリーが行われます。そのためすべての種目を成立させるために長い日程が必要で、スラロームはこの期間に4レース成立しました。

大会の最初は5位とまずまずの成績でした。海上ではスピードもあったし、自分の道具に良い感覚も得ていました。その後フリースタイルが行われたので、少し休みがありました。その翌日から何かが僕の中で違ってきて、第2レースではクオーターファイナルで早々に敗退しました。こんなに早く敗退することは今年初めてのことでした。第3レースではファイナルに勝ちあがれず、ルーザースで9位に何とか入りました。この日は僕にとって特別な日で、海に出ると良い感覚とスピードがあるのに結果が伴わない日だったのです。そして頭の中には多くの事が渦巻き、もしかするとこの旅ではプレッシャーが強すぎたのかもしれません。ほぼ全てがうまく整っているのに、一つだけ間違ったものがある、そんな日だったのです。

最後のレースも似たような感じでした。多くのキャンセルと風向きの変化があり、朝始まったのに午後遅くまでかかるレースでした。僕はすでにオンの状態でしたが、レース自体はうまく進まず、テンポがあっていなかったように思います。何かが足りなかったので、今僕は状況を分析し足りなかったものを探り、そこから学ばなければなりません。

リザルトは良くなかったとしてもトップ10には入っているので、今回は僕の大会ではなかったと考え、これを経験にしたいと思います。時には後ろに強く戻される時があっても、僕は次やらなければならないし、2週間後にはフランスのブリタニーで大会があります。有名なラトーチェの大会です。まだ何も成し得ていませんし、僕は諦めません。
残りの冒険にも注目してください。違和感のあった日々のこの大会中、多くのメッセージとサポートをいただいたことに感謝します。

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